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災害時について

いつ、どこで起こるか分からない災害。特に透析治療を受けている患者は、災害の影響で治療を受けられない状態が長期間にわたると生死に関わる場合もあります。災害時に落ち着いて行動できるよう、平時からの心構えが大切です。


全腎協災害対策委員会が災害対策マニュアル(改定第3版)を発行しました。

災害対策マニュアルは、下記のPDFをダウンロードしてご使用ください。


血液透析中に災害があった場合

血液透析中に災害が発生し、緊急避難が必要と判断された場合、状況によっては透析回路からの離脱を患者自身が行うこともあります。施設に緊急離脱セットが用意されている場合は、いちど中身を確認し使用方法を知っておくとよいでしょう。避難するか、透析を続けるかスタッフが指示を出すので、その場で待機してスタッフの指示に従って落ち着いて対応しましょう。

離脱後は各施設で事前に決めた避難場所に集合し、スタッフの点呼・確認を受けます。穿刺部の消毒や出血している場合は手当てを受け、次の透析予定の指示を受けます。

避難時の注意

  • 非常時は、動いていたエレベーターが途中で止まる危険性があるので、絶対に使用しない。
  • いざという時に慌てないように、日ごろから施設の非常口を確認しておく。
  • 地震の場合はガラスなどが飛散していることが考えられ、怪我をする危険があるため、必ず履物(できれば靴のほうがよい)を履き移動する。
  • 火災の場合はできるだけ身をかがめ、煙を吸わないようにタオルなどで口と鼻を覆う。

血液透析を受けていない時に災害にあった場合

血液透析中ではないときに災害を受けた場合は、まずはご自身がいる場所の安全確保をし、次に通院している透析医療機関へ可能な限りの方法で連絡を取ります。ご自宅の安全確保が難しい場合は、緊急持ち出し物品を持って避難所へ避難します。

通院している透析医療機関と連絡が取れれば、自分の状況を報告するとともに、医療機関で透析治療が行えるか確認しましょう。通院施設で透析治療が行えない場合は、透析が実施できるまでの日数とほかの施設に移動して治療を行う場合の移動方法や集合場所の確認・指示を受けます。

通院施設と連絡が取れない場合は、最寄りの保健所に連絡を取り、指示を受けてください。保健所と連絡が取れない場合には、地域で指定されている拠点病院に連絡を取り指示を受けましょう。

緊急持ち出し物品

防災手帳などを参考にして、次のようなものを準備しておきましょう。
  • 常備薬、救急セット
  • お薬手帳のコピー
  • 身体障害者手帳のコピー
  • 特定疾病療養証のコピー
  • 保険証
  • 飲料水(健常人の半分が目安:1日750ml程度)
  • 非常食
  • 透析食品
  • 現金や貴重品
  • AM/FMラジオ
  • 懐中電灯
  • 衣料品
  • 生理用品
  • 下着類 など

また、医療機関や行政などから配布される「透析患者カード」は、ほかの透析医療機関や避難所などで透析を受ける場合に非常に重要となるため、財布などに入れて常に携帯しましょう。

避難所での注意点

食事について

熱量(エネルギー)を確保するために、しっかり食べる
熱量摂取が極度に不足すると、体内では筋肉を分解して代替のエネルギーを得ようとするため、多くの尿毒素とカリウムが生じます。これは、透析患者にとっては危険な状態となるため、十分な熱量を確保するように心がけましょう。
水分摂取を適正に行う
避難生活における過度の水分制限は、深部静脈血栓症やエコノミークラス症候群などを合併して危険な状況に陥ることもあります。適正な水分摂取を心がけましょう。
タンパク質、塩分、カリウムは控え目に
被災地で支給される食事は、おにぎりやパン、カップ麺、バナナ、新鮮な食材を用いて簡単に調理されたものなどが多いです。これらには、タンパク質、塩分、カリウムなどが多めに含まれていることが多いので、適正に加減することが大切です。

※栄養成分表示には塩分量が「食塩」または「ナトリウム」で表示されています。
 ナトリウム(Na)を食塩に換算するには、「食塩(g)=Na(g)×2.54」で計算します。
普段から3日分の食糧を備蓄しておく

上記のようなことから、透析患者にとって避難所では食事面で注意すべき点が多いです。普段から、タンパク質や塩分、カリウムなどが調整された食糧を備蓄しておくと安心です。

薬について

薬には2~3日飲まなくてもすぐに体に影響が出ないものと、飲まないと早期に体に影響が出るものがあります。ご自分が飲んでいる薬の中で、飲まないと早期に体に影響が出るものについて、平常時から担当医に確認しておくとよいでしょう。これらは被災しても欠かさず飲みましょう。

災害時はいつも服用している薬がすぐに手に入るとは限らないので、平常時から薬を整理し、すぐに持ち出せるようにしておきましょう。お薬手帳のコピーと一緒に服用している薬を1週間分ほど、緊急持ち出し物品として準備しておきましょう。また、外出時に被災することも考えて、3日分ほどを常に携帯していると安心です。

代替施設を探すには

避難所から普段通院している透析施設までの通院手段を確保できないなど、さまざまな事情で普段の透析施設を利用できない場合、避難場所で自治会の役員に相談するか、透析病院の情報を得られる場所へ行き、透析を受けられる病院まで搬送してもらいましょう。

また、災害時は、被災地にいる日本透析医会に所属する医師たちが、施設の被害情報や受け入れなどの情報を日本透析医会のホームページ、災害情報ネットワークに提供するため、パソコンが使える環境であれば知ることができます。

患者会における災害対策

透析治療を受ける患者にとって、災害時に透析を受けられない状態が続くことは命に関わる問題です。このため、全腎協では災害対策委員会を設置して、日ごろから災害時の透析医療の確保と避難・移動体制の整備の問題について取り組んでいます。これは、国会請願署名運動の中でも国への要望として挙げています。

このほかに、各都道府県の腎友会組織でも避難訓練や災害時伝言ダイヤル(171)のかけ方などの勉強会や防災マニュアルの作成など、透析患者の防災対策に力を入れています。

詳しい情報

透析患者の防災、災害時の対応などについては独自のマニュアルを作成したり、患者に呼びかけるなどの対応をしている透析施設が多いです。また、次のサイトにも詳しい情報が載っていますので、平常時にいろいろと調べてみてはいかがでしょうか。

東京都福祉保健局 「災害時における透析医療活動マニュアル」(令和3年5月改訂版)(PDF)