「腎疾患総合対策」の早期確立を要望する請願書
請願の趣旨

  我が国では腎疾患(腎臓病)患者は1,300 万人を超えると言われています。腎臓病は「沈黙の病」ともいわれ、早期発見が大変難しい病気です。いったん腎臓病を発症すると、長期にわたり根気強い治療が必要となります。また、腎臓病は重症化しやすく、末期腎不全まで至ると生命を維持するために人工透析治療を続けるか、腎臓移植をするしか方法はありません。

 近年、糖尿病の合併症として腎不全を発症する患者が急増しています。
 そのような腎臓病患者を一人でも少なくし、国民が健康で毎日を送るためには、病気を発症してからの対策、医療ではなく、腎臓病の発症を予防するための施策が重要です。
 また、腎臓病を発症したとしても、医療と政策によりその重症化をとどめる事が必要です。

 腎臓病はもちろん、糖尿病も決して生活習慣だけから発症する病気ではありません。発症の原因を、決して患者個人の責任にするだけでは腎臓病患者はなくなりません。広く国民的課題として、国を挙げた取り組みが必要です。

 また、末期腎不全となる患者は高齢化しており、通院をはじめとする生活に課題が山積しています。これは超高齢化社会であるわが国において、一般の高齢者にも共通する問題でもあります。患者がよりよい生活が送れる社会の実現は、一般の高齢者が安心で充実した毎日を送れる社会の実現につながります。

 全国腎臓病協議会では、腎疾患分野における保健・医療・福祉の総合化、すなわち「腎疾患総合対策」が早期に確立されることを願って、日々の活動に取り組んでいます。その結果、慢性腎臓病(CKD)の重症化を防ぐための戦略研究の実施や腎疾患対策の予算化などが実現しています。しかし、「腎疾患総合対策」が実現しているとはまだまだ言えません。「腎疾患総合対策」が確立し、国民が腎疾患から守られる日が早く達成されるように強く要望します。

請願事項
1 腎疾患の発症と重症化予防に向けた総合的な対策が進むように努めてください。
2 介護が必要な腎臓病患者が介護保険を利用できるように検討してください。とりわけ通院困難な透析患者の通院を保障する体制の公的な整備を検討してください。
3 どこで大災害が発生しても人工透析治療を受けることが出来るように努めてください。
4 腎臓病に対する再生医療の研究が進むように努めてください。
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