足病変に関する啓発

「Act Against Amputation」プロジェクトと事業連携

“一生じぶんの足で歩こう”をスローガンに発足した啓発プロジェクト「Act Against Amputation」(代表:大浦紀彦 略:AAA)と全腎協は、下肢切断の撲滅をめざした啓発活動について連携しています。

2014年4月30日 全腎協とAAAプロジェクトとの事業連携に関するニュースリリース

川崎クリニック 足外来のセミナーに参加しました

セミナーには多数の医療従事者が参加しました。

平成26年4月21日、神奈川県川崎市にある社会医療法人財団石心会川崎クリニックで行われた足の病気について考えるセミナー「生涯、自分の足で歩き続けるために」に参加しました。
 
日本では足に対する健康意識が欧米に比べて低く、治療に関しても十分な体制が取れていません。私たちが日常生活を送ったり、どこかへ出掛けることができたりするのは体の一部である「足」があるからです。当たり前のようですが、その当たり前に慣れきった私たちは、足の病気や足そのものに関心を持つことがあまりなく、治療をしなければいけない状態になってはじめて、その恐さや不自由さに気付くことが多いです。

特に、糖尿病や腎臓病の患者は、血液循環が悪く足の病気やそれに伴う障害(足病変)を来すリスクが高いです。そのリスクについて、セミナーで講師を務めた桑原靖先生は、「地雷を踏んで足を切断しなければいけない人は30分に1人の割合でいるが、糖尿病で足を切断しなければいけない人は30秒に1人」と話しました。非常に高い割合で、足を切断しなければならない人がいるのです。切断までいかなくとも、足病変によって自力での歩行が困難となり、日常生活はもとより透析治療のための通院にも支障が出てきてしまいます。

足病変のきっかけは、次のような症状がきっかけで起こります。

・爪(爪切りでの深爪や白癬)   
・足裏の角質(足の裏やかかとのガサガサと乾燥)
・足の変形(偏平足・甲高・外反母趾・内反母趾等)  など

誰もが思い当たる足の状態が足病のきっかけとなることも少なくありません。
また、透析患者の場合、健康な方に比べると足への血液循環が悪くなり傷が治りにくく、
アミロイドによる足根管症候群によるシビレなどでも足病変になることが多く、普段から足に注意を払う必要があります。桑原先生は、足を守るために次のようなことに気をつけることから始めてほしいと話しました。

普段から足に関心を持つ!
<セルフチェックの方法>
先のとがったもの(つまようじやティッシュでとがった形を作る)で足の裏に刺激を与え、肌での触感がなければ、すぐ病院の足外来を受診しましょう。

足病変になった場合には、必ず原因を明らかにする
足病変の原因究明がなされないまま、薬を服用したり症状の治療をしたりしても効果がない場合があります。

「痛みがない」「痛みが治った」状態のときは、治療を続けることを忘れがちです。糖尿病の既往をもっている方、透析治療が必要な方、そうでない方も含め、足病変の認識を高めることが予防につながります。

講師の桑原先生は、国内では希少な足の専門医として、関東を中心にさまざまな病院で治療や研究を行っています。今回、講演会を開いた川崎クリニックでも平成26年5月から足外来の診療を始めました。川崎クリニックでは、透析室を持つクリニックとして、透析患者のフットケアのみならず、医療従事者へもフットケアの重要性を高めていき、また、川崎・横浜を中心とした足の専門家チーム『j.WALK』のメンバーとしても医療連携を強化していく方針です。

足を守る!「j.WALK」とは。。。 

足の専門家チーム「j.WALK」のメンバー

「ひとりでも多くの患者さんが、自分の足で歩く為に」その思いで結成されたチームです。
足の病気は、ひとつの病院・診療科では完結できない事が多く、多くの専門家の連携・協力が必要です。
j.WALKは横浜・川崎を中心とした足の専門家の集まりで、日本で初めて「足の病気」に対しての連携医療を実現したチームであり、2006年より、現在13施設18名のメンバーが組織の枠を超えて連携し、多くの足を救っています。

「足は心臓や腎臓と違って、目に見え・触れるので、自分の心がけ次第で守ることができます。もう少し早く対処すれば、足を切らずにすんだ。という患者様は少なくありません。特に糖尿病や透析の方は、注意が必要ですので、あやしいと思った時にすぐに医師や看護師に相談する事が重要です。」(j.WALK代表 菊名記念病院:宮本明先生)

足の切断なんて自分には関係ないと思っている方も、生涯、自分の足で歩くために、まず自分の足に関心を持ちましょう。そしてその意識を継続させることが大切です。